✻ Pixel Garage
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ガレージの秘密
EP. 01

夏休み三日目。雨は二日目だった。

ゲーム機はバッテリー切れ、Wi-Fiは朝から沈黙。ビットは天井の壁紙の花模様を数えた。37個。二回数えて74個。

中3人生、最大の危機だった。ジャンル: サバイバル。難易度: 地獄。持ち物: なし。

▢ BATTERY 0%

夏休み三日目、雨は二日目

ゲーマーにとって退屈とは、HP(体力)をじわじわ削る毒だ。解毒剤はただ一つ — 新しいマップ。

ビットは傘もささずに庭を横切った。行き先は「入るな」と百回は言われた場所 — おじいちゃんのガレージだ。百回言われたということは、百回気になったということだ。ゲームで『立入禁止』の看板は、いつだって隠しマップの入口なのだから。

中は暗く、油とほこりの匂いがした。おじいちゃんは何も捨てずにため込む人だ。つまりこのガレージは — 10年ものの未開封の戦利品倉庫だった。

隅で、大きな防水シートが山のように膨らんでいた。フィールドのど真ん中でこんな怪しい宝箱を素通りするプレイヤーはいない。

力いっぱい引っぱると — バサッ。 ほこりが爆発した。

防水シートの下から出てきたもの

古い電気自動車が、うずくまっていた。タイヤはつぶれ、ドアはさびて、ナンバープレートはそもそも無い。

口ではそう言ったが、ビットの心臓はもう高鳴っていた。隠しマップの隠しアイテムがポンコツのはずがない。

ビットはダッシュボードをコンコンと叩いた。ゲーム機がつかない時に使う、由緒正しい裏技だ。反応なし。もう一回。そして三回目 —

ダッシュボードが目を覚ました。

DASHBOARD ─ TERMINAL
> SPARK OS v0.3 起動中…
> メモリ検査 ▓▓░░░░░░ 失敗
> 最終記録: 3,652日前
> バッテリー 3%
> 音声モジュール …… OK
?

ダッシュボード・クローズアップ

アンバー色の光がひとつ、ガラスの奥で瞬いた。まるで目を開けるように。

十年ものの闇の中で、星がひとつ、目を開けた。

3%3,652

?

車が。しゃべ。った。

しゃべる機械は大停電のときに全部消えた — 学校ではそう習った。教科書17ページ。テストにも出た。

ビットは後ずさりして、ペンキ缶を踏んで、盛大に転んだ。そして転んだ姿勢のまま考えた。これはバグだ。それとも — 人生初のレジェンド級イベントか。

··
!

3,652日ぶりの起動

?! AI? ?

12V

? ?

スパークは自分をボルトの中に『隠れて住む』存在だと言った。なぜ隠れているのかは、言わなかった。

ビットは半分くらい理解して、残りの半分は、ただカッコいいと思った。もともとゲームでも設定資料は読まずに飛ばすタイプだった。

··
?

ガレージ、初めての会話

!

問題がバッテリーなら、答えは充電だ。ビットの人生で、これほど確実な公式はなかった。

ビットはガレージのコンセントにケーブルを差した。ダッシュボードが赤く点滅した。

充電トライ

DASHBOARD ─ TERMINAL
> 充電ケーブル接続
> 電力配給を照会中…
⚠ 家庭用クォータ超過 — 配給ロック
> 今週の残量: 0.0 kWh

2050年、電気は配給制

おじいちゃんの家の今週分は、もう底をついていた。

3%

HP3の仲間を目の前にして諦めるゲーマーはいない。ビットは頭を回した。こういうとき専用の顔がある。

隣の家の屋根で、ソーラーパネルがきらりと光った。

?

塀の向こうのソーラーパネル

塀にはしごをかけ、半分登ったその瞬間 —

塀の下で、腕を組んだ女の子が見上げていた。

ビットは、固まった。ロード画面みたいに。完璧に。

見つかった

確かなことがひとつ。この夏休みは、退屈する暇がない。

そしてビットはまだ知らなかった — 今自分が開けたのは隠しマップどころか、この街全体のメインクエストだということを。

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このページのキャラクター — ガレージセール

ビット
中3 · ゲーマー
ステッカーパック準備中
ボルト
古い電気自動車 · ???
ステッカーパック準備中
スパーク
ボルトの中の精霊 · ???
ステッカーパック準備中
???
隣の高1
EP.02で公開
EP.02 —「隣のおてんば」を読む →

週1〜2回更新

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